田中千代を卒業したあと、2年くらい田中千代に勤めたの。でもずっと下働きで、丁稚奉公だったからつまらなかった。
その時代は、来客係でお茶汲みとか、そういう仕事ばかりで。お金持ちの娘さんが花嫁修行で結婚まで働くという人がほとんど。そのあとは皆、専業主婦になって、お洋服の仕事はしなかった時代ね。
だから、「私も結婚するから 」 と言って田中千代を辞めたの。でもそのあと、やっぱりお洋服が好きでまた働きたいな、と思って。
そんなときに「時間が空いているならまた来ない?常勤じゃなくても。田中の名前を使ってくれていいから。」って声をかけてもらって。そこからは長かった。組織がどうとかじゃなくて、自分がやりたいように仕事をすると決めたから。
自分のやりたいことを仕事にできるってとても恵まれていることよね。こんなに長く洋裁の仕事ができているのも、幸せよね。